2014年1月6日月曜日

ロンドン観劇旅行その1

2年前のドラマターグの記事の真っ最中ですが、ちょっと昨年末行ったロンドン旅行のことを書きます。


201312月、2週間ロンドンに滞在して演劇を観て来ました。
事の発端はお世話になっている或るプロデューサーさんから、「瀬戸山さんはとにかく海外の演劇を観て来たほうがいい」と言っていただいたからです。
演劇をやっていながら、私は今まで一度も海外で演劇を観たことがありませんでした。お恥ずかしい限りです。

以前にもやはり違うプロデューサーさんから「ラスベガスでショーを観て来たほうがいい」とアドバイスをいただき、それはなかなか実現できないでいました。しかし、今回は公演がしばらくないということもあり、無理してでも行こうと心に決めました。自分の作品の限界を取っ払いたいというのが一番の目的です。

アドバイスをいただいたのが8月の終わり。行き先は、ロンドンと決めました。ロンドンの演劇はテキスト重視であることと、日本で観て何かと気になった作品がロンドン発のことが多かったことから決めました。

期間は2週間で英語学校にも通うことにしました。学校に通うほうが、授業料・ホームステイも合わせて普通にホテルなどで宿泊するよりはるかに費用がかからないのです(ちなみにロンドン最安値の学校に行きました)。そもそも大学受験を最後に英語をまったく勉強していません。覚えている単語もわずか。喋るなんて遠い夢。渡航前に付け焼き刃的に英語の話せる友達に2回ほど最低限の会話を習いましたが、それ以上に勉強する余裕もなく、なんだかわけがわからないうちに出発の日になってしまいました。

というのも、この期間は公演こそなかったのですが、その分執筆だったりワークショップだったり今後の公演のための事務仕事だったりミーティングだったりが目白押しで、旅行の準備に割く時間はほぼゼロ。さすがに不安だったので『地球の歩き方ロンドン編』だけ買って、しかしそれを開くことないまま出発となりました。

しかも要領の悪い私は、旅行に、長編台本、演劇以外のシナリオ仕事、舞台のパンフレットの原稿などなど、仕事をいっぱい持って行くことに。徹夜で執筆して、成田エクスプレスで執筆して、空港で飛行機に乗る1分前まで執筆し続けて、でも全然終わらなくて絶望的な気持ちで上空へ。飛行機の中は、隣のたぶんイギリス人の男の子に気を遣ってパソコンを開けず悶々としながら、とりあえず着いたらやること(Suicaみたいなものを買ってホームステイ先まで行くこと)をシミュレーションしていました。

ちなみに観るべき演劇については、いつもミナモザのポストパフォーマンストークに出演してくださっている演劇評論家で、演劇翻訳家で、イギリス演劇の研究者である谷岡健彦さんに聞いて行きました。そのリストをプリントアウトしたものと、シアターガイドのウエストエンドのページの切れ端を握りしめ、しかしどれを観たらいいのかさっぱりわからないまま、気がつくとロンドンに到着していました。途中、飛行機から見たロシアあたりの山の風景が素晴らしくて、わけもわからず地球ありがとうと涙を流しました。

だいたい、海外にひとりで行くのも今回が初めてでした。なんとかSuicaみたいなオイスターカード(なんでこの名前?)を手に入れ、ピカデリーラインとジュビリーラインという電車を乗り継ぎ、ウエストハムステッド(ビートルズで有名なアビーロードの先にある住宅街)にあるホームステイ先に到着しました。ホームステイ先ではとにかくファミリーとコミュニケーションするぞ! と意気込んでいたので、家主の前情報(猫を飼っている、映画が好きな50代の女性)を頭に叩き込み、ベルを鳴らしました。しかし、彼女はおらず、20代前半の息子がいるだけ。しかも、彼は彼女といちゃつきながらDVDを観ている真っ最中。気まず過ぎて気になっていたお風呂のことも洗濯機のことも朝食のことも聞けず、ぐったりしながら半分睡眠状態で待つこと5時間。ようやく家主であるお母さんが帰って来て、話すことができました。(結局、このおうちは、お母さんが働いていてあまり家におらず、基本的にホテル感覚で部屋を貸している、かなりドライな家でした。1回も会わない日も多々あり。でも、すごく優しいお母さんでした。猫はもう飼っていないとのことで、いませんでした…)

そんな感じでようやく1日目が終了しました。まさか演劇を観るのはこれから4日も後になってしまうとはそのときは思っていませんでした。



滞在した街。

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